第2章 病的な批評家
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心理学者のユージーン・セイガン(Eugene Sagan)が命名
最も重要なことはその攻撃がいかに歪曲されていて誤っているものであってもほとんど常に信じてしまうという点
もう一つの重要な点は、批評家がある種の速記のような形で話しかけてくるという点
短い単語でも嫌悪感をもたらすすべての影響を感じてしまう
一連の「〜すべき」思考
育った生活の価値や規則
批評家の起源
批評家は人生早期のあなたの親との関わりの中で生まれる
パーソナリティの理論家であるハリー・スタック・サリヴァン(Harry Stack Sullivan)
罰を受ける出来事
相手を驚かして拒絶するという意図
咄嗟に親からの承認が得られないことを感じる
親の承認は子供にとって生きるか死ぬかの問題である
すべてのサポートを失ってしまうのではないかという、恐ろしいほどの危険を伴う
すべての子供は禁止のジェスチャーから情緒的な遺産を得てそれと共に成長していく
批評家の声は、賛同してくれない親の声であり、子どものあなたの行動をコントロールするような罰を与えて禁止する親の声
批評家の攻撃の量と激しさは「自分はよくない」という感覚の強さと直接的に関連する
人生初期の「自分はよくない」という感覚の強さを決定する5つの主な要因
1. 好み、個人的な欲求、安全、適切な判断といった問題が、道徳的義務として誤ったレッテル貼りをされている程度
親の個人的な好みであるのにもかかわらず、子供が道徳的に間違っていると信じ込ませる
2. 親が行動とアイデンティティを識別できなかった程度
飛び出した子供に対して「悪い子だ」と叱る
行為の危険さを叱らない
3. 禁止のジェスチャーの頻度
親からの否定的なメッセージの頻度は人生初期の自己価値観に深刻な影響を及ぼす
ヒトラー政権の宣伝相は、いかなる嘘でも信じさせるには単にそれを繰り返せばよい。と述べている。
4. 禁止のジェスチャーの一貫性
時には問題なく、時には問題だとなると、あなたがしたことではなく、あなた自身が悪いとされる
自分が何か間違ったことをしたように感じているのだが、それははっきりとした規則を与えられず、それが何であるかを理解していなかったためである
5. 禁止のジェスチャーが親の怒りや親が距離を置くことと関連していた頻度
怒りや距離を置こうとする態度ははっきりとしたメッセージを伝える
「お前が悪い。お前を見捨ててやる」というメッセージ
これは子供が耳にするもっとも恐ろしいことなので、決して忘れない。
批評家はこの誤っていたという感覚を使って大人になったあなたに心理的攻撃を仕掛けて叩きのめそうとする
なぜ批評家に耳を傾けるのか
利益が得られるから
批評家はあなたのある種の基本的な欲求を満たしている
安心できて、怖れを抱かないという欲求
世界の中で、自分は能率的で、能力があるという欲求
両親や重要な関係にある人々から受け入れられるという欲求
自分の価値やほとんどの状況で大丈夫であると感じる欲求
適切な自尊心を持っている人は欲求を満たすために直接対処できる
自尊心が低い人は危険を冒すことができなくなる
そこで批評家を頼りにして対処する
叩きのめしている一方で気分を良くしている
代価が大きい
強化の役割
正の強化(positive reinforcement)
報酬をもたらす出来事が起きた後に、ある特定の行動が生じ、将来その行動が増える結果になる
負の強化は身体的・心理的苦痛に置かれたときだけに生じうる
苦痛を止めることに成功したいかなる行動も強化される
一般にストレスや不安を和らげることは何でも強化される
他者を非難することは自分の失敗に対する不安を和らげるために非常に高頻度の行為になるまで強化される。
同じ気分が生じたら同じ認知が再び利用される可能性が高い
悲嘆の過程
喪失について強迫的に思い返すのは苦痛を和らげる効果があるから
負の強化は基本的には問題解決過程の一種
変動比率強化スケジュール
ある特定の思考や行動が常に強化される
重要な側面として、強化が止まると消失へとつながること
強化は持続的なものではない
効果が現れるスケジュールは予測できない
スロットマシーンなど
どのようにして批評家は強化されるのか
批評家にとっての正の強化
正しく行う欲求
批評家は内的な規則=正しいことをするように迫る
正しいと感じる欲求
1. 自己価値
他者と比較する
多くの場合、他者よりも劣っていると感じ、自尊心は損なわれる
しかし、時々他者よりも優れていることに一時的な満足を覚えることがある
他者との比較は変動比率スケジュールで強化される
損なわれる方が多いがスロットマシーンのように回し続ける
非常に高い完全主義的な基準を設定する
ごく稀にすべてが奇跡的に完璧にうまくいことがある
変動比率スケジュールで強化される
批評家が完璧を主張し続けるのは、あなたがそれを達成し、ほんの一瞬完璧であった時に気分が非常によいからである。
2. 批判的な親から受け入れられるという感覚
この欲求を満たすために批評家はあなたの親と一緒になってあなたを攻撃する
親の視点を同定することによって、逆説的ではあるが、あなたはより安全で、受け入れられ、愛されていると感じるだろう
親の視点で物事を捉え、親と同様に振る舞い、所属感や情緒的安全感を覚えて、それがあなたの批判的な声をさらに強化する
達成の欲求
批評家を強化しているのは、けしかけられれば、あなたは物事を成し遂げようとするという点
批評家にとっての負の強化
1. 大丈夫ではない、悪い、価値がないという感覚
批評家はあなたに完璧であることを迫り、あなたはもはやそれほどの不全感や絶望感を抱かない
むしろある種の全能感を覚える
一生懸命働けば、全力を出しさえすれば、必死になって自分を変えようとすれば、すべてのことが可能だろう
2. 失敗の恐怖
否定的な予測で行動をやめる→批評家の攻撃が直接的に苦悩のレベルを下げるので批評家は強化される
3. 拒絶の恐怖
常に拒絶を予測して、決してそれに驚くことがないようにする
批評家は多くの読心(mind reading)をする
これは変動比率スケジュールで強化される
時々正確に予測することがある
この予測は最悪の苦痛に対してあなたを脱感作させる手助けをする→強化される
別の方法として、まず自分自身を拒絶すること
ある有名な詩人「私は自分の作品をつねに貶めていたような感じがした。そのために実に不思議な事に、他の人々は私の作品を酷評しなかった。」
他者からの攻撃の不安を和らげるのに役立つと、自分への攻撃は強化される
4. 怒り
他者を傷つけたり事態を悪化させたり他者を怒らせて攻撃されるといった危険を冒さずに済む
5. 罪悪感
批評家が繰り返し犯した罪について攻撃していくことで贖罪の意識が芽生え、罪責感が減じていく
6. 欲求不満
自己に向けられた怒りは高まった欲求不満や否定的な気分を発散させる。
緊張が和らげられる→強化
あなたの批評家を捕らえる
独り言のどこかに批評家の告発が隠れている
注意深く耳を傾け続けなければならない
イメージで攻撃してくることもある
言語とはいえない形でも
問題の多い状況での心の独り言に特に注意を払う
見知らぬ人に会う
批判されたと感じて言い訳がましくなる状況
あなたが傷つけられたと感じるか、誰かがあなたに腹を立てている状況
拒絶や失敗を引き起こしそうな状況
反対されそうな親や他の誰かとの会話